「三つ星レストランの作り方」 このうえなく興味深いプロの料理人の仕事   対照的なライターのへんな文



三つ星レストランの作り方
 三つ星レストランの作り方: 史上最速でミシュラン三つ星を獲得した天才シェフの物語
 石川 拓治  小学館


最初はタイトルに「駄文」と書いたのだけど。翌日、ちょっと遠慮して修正。
すでに著作をいくつも出されているライターさんを駄文と評したのは。あくまで吾輩感覚です。と先に書いておきます。詳しくは終わりのほうに・・・

米田シェフのことは、詳しく存じ上げないのですが。この本の装丁と章立てにひかれて買いました。
以前の日誌にトシ・ヨロイヅカの「職人力」がとてもよかったと取り上げたことがありますが。こんども世界屈指の職人の仕事ぶりをのぞいてみたかったのですね。

本のはじめにシェフの料理の写真が載せられていて。これを見るだけでも、ただならぬ感性と技の持ち主と思われ。一気に読んでしまおう。と思ったのだが。ライターの脳内環境についていくのに苦労してしまった。
うーん。読者が期待するヨネダの世界を味わう楽しみを、くだらない比喩でだめにしてしまってないか?

でも。この本は、ぜひ買い求めていただいて。
ここに載せられたシェフの「語り」やエピソードから、いろんなことを学んでほしいなあ。
トシの「職人力!」もそうなんだけど。この本も、修行時代からレストラン開業時(からずっと続くであろう)の苦労と工夫の物語りが読みどころで。このあたりは、ライターの癖もほとんど出ずに読みやすく。仕事論としても役に立つものになっています。

あるブログで、お店が2つ星に降格とか揶揄して書いてたものがあったけど。
吾輩もモノ作りする職人?の一人であるからして。モノ作り、店つくりの苦労はよーく感じるところなので。
こんどの降格を揶揄するようなことは決してしません。


※本は。いつもの三省堂書店 海老名店さんの料理書コーナーにあったのだけど。
トシの「職人力!」と同じく。ふつうの仕事論とか自己啓発コーナーにも置いてほしい本ですね。
(なぜか陳健一さんの本はビジネス書コーナーだけに置かれてあって。すぐに売り切れて、その後再入荷してないみたいだけど。・・・あ、料理じゃないけど。松岡修造さんの本もすぐに売れてしまったあと、まだ入ってないみたいだね。


  「本」題に戻って。
米田シェフが発見した「三つ星レストランの条件」というのも、たいへん興味深いものだったのですけれども。
これは。本のどこに書かれてるか内緒にしますね。手にとって読んでください。


本の活字になっているところでは。(←ちょっと変な書き方だけど)
ライター自身のエピソードがとても目障りというか。変なんだよねえ。


本の中盤からはシェフの子供のころから修行時代の話があって。
勉強になることが多いのは当然として。
文も、こうしたところは まあ、読みやすいのだけど。
・・・いちばん読みやすいのが。インタビューしたのをそのまま活字に起こしたところ。というのが皮肉だ・・・
長いインタビューの引用をしたときは。段落を一行空けてもらったほうが、読むときに楽ですね。

本のはじめのほうの書き方は、おかしく感じるところが多い。
シェフが毎日、顧客が用いるナイフひとつひとつを磨いて用意されているという話など。ほんとに勉強になることなんだけど。
どうにも、読むのにそうとうな努力がいる文なんですよ。


シェフの料理の工夫や仕事ぶりを感じたいのに。冒頭の何章かは、シェフの持っている世界観と違うと思われる。ライターのどうも噛み砕きにくい修飾語句が続くんですね。
中盤で、辻静雄さんのエピソードがあり。こうしたところは、作者の教養のよい面が出ていると思うのだけど。最初の章のほうにある、作者自身の興奮を語る部分になると。とたんに言葉が装飾過多になってくるようです。


・・・吾輩も夕食なので時間もない。 あとで・・・ごめんなさい

ちょっとだけ書いておくね

p32 2段落目 唐突に「男なのだ」と結びがくるのは文脈として不自然でしょう。

人間の毛細血管・・・ 料理の本に取り上げるにふさわしい語句でしょうか 吾輩としては、くどくせず。ひとつのエピソードの終わりに。じつは・・・とか、読者の脳内に外科手術シーンの映像をあまり描かせることなく。さらっと書いてほしいところ。

p34 2001年宇宙の旅 と修飾する感性についていけない読者は、吾輩だけではないだろう。
フォアグラを食べた感想も、修飾がくどくて読みにくいし。美文とはいえないでしょう。

修飾がダブっていたり。くどいのはここだけではない。「2001年」のような例えも他に何箇所も出てくるけれども。
(おそらく、たいていの)この本の読者にとっては。読者が、2001年とか、「作者の脳内環境」につきあう義理はないです。
こうしたたとえが許されるのは。作者がほんとに映画演劇関係とか(それでも、もっと分かりやすく書くだろうけどね)
。あるいは、魯山人のように自分の世界を確立したヒトか。
「大作家氏」のように。すでに自分の文体や世界観を確立した人が書いて。読者も、どちらかと言えば料理より その作家先生がどう感じたのかに関心がある という立場で本を読むときに限られるでしょう。


昨年から、日誌に取り上げた以外にも、レストランなどを紹介する書籍を。最低月に2冊以上(調理職人でもないので、このくらいでご勘弁を)邦文、英文両方読んでいるのですが。
読むのにいちばん苦労しました。

読者には、真面目に勉強のために読む料理人もいると思うのですが。
読者の貴重な時間と感性を浪費させるような面があるのは残念です。

装丁とかはしっかりしてるのに。なんだろう、これは。
    出版社もしっかりせい


まあ。好意的に察すると。
ライターさんも。客観的にインタビューメインにまとめるか。ライター目線でまとめるか。中途半端で。決めかねるうちに締め切りが来ちゃったのかね。


と苦情を書きつつも。やはり多くの人に読んでほしい本です。


 11/19 この本の、文の書き方で気になったところをいくつか 別に新しくうpしました
     ↓
・・・・のですが。匿名で書いて、嫌がらせみたいに、へんな疑いを持たれるのも嫌なので。
気になったことなどは、出版社に送らせていただきました。
ということで。削除させていただきます。

もし。日誌の読者でこのあたりの、言葉の技術を追求したい方がおられたら。
大沢在昌さんの「売れる作家の全技術」を読まれることをおすすめします。

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